檜扇(ひおうぎ)の部品

投稿者: doguu in 出土物整理, 発掘調査・試掘調査 | コメントを残す

松山市内辻町周辺での試掘調査から市内で出土した遺物のなかでも珍しい物が出土しています。

檜扇(ひおうぎ)の部品

試掘調査で出土した檜扇(ひおうぎ)の部品4点

檜扇ひおうぎは檜や杉の細長い薄板を重ねて綴じ合わせた開閉自在の扇です。現在みられる木や竹に紙を貼りつけた扇は10世紀以降に出現するようですが、檜扇はそれ以前の形態の扇で、少なくとも奈良時代には出現していたことがわかっています。全国的にみると都城とじょう跡、郡衙ぐんが跡などの官衙かんが遺跡で多く出土しますので、役人が身に着けていた服飾道具の一つであったと考えられます。

檜扇【ひおうぎ】 (奈良文化財研究所/木簡ひろばより)

檜扇【ひおうぎ】
(奈良文化財研究所/木簡ひろばより)
参考イメージ

(文は、平城宮跡東方官衙の檜扇(ひおうぎ)‐なぶんけんブログより引用)
左側写真の右の縦長い部品の大きさは、
・上端幅2cm、推定長約26.5cm
・下端幅1.3cm、厚さ0.4cmを測ります。
下端より1.1cm上に径0.2cmの穴を穿っています。
中央と左の部品の上端幅も復元では約2cmとなりますが、厚さは0.1cmと薄く作られており、右の縦長い部品は厚く作られていることから、これは扇の端材と考えられないでしょうか?
今後の出土例と他地域での類例調査に期待します。

コメントは閉じています。