埋蔵文化財センターの仕事について[銭貨の保存処理(前編)]

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 金属製品、木製品、動植物遺骸体(いがいたい)など、発掘調査で出土したままの状態で保管すると、近い将来には変形してしまい形が無くなってしまう遺物を、できる限り出土した状態の形を保つために行う処置を保存処理といいます。

 この処置を行う専門部署が保存処理室になります。今回は、出土した銭貨の保存処理を紹介します。

 現場で出土した銭貨は、処理室へ持ち込まれます。まず、現状の写真を撮り(写真1)、銭貨の状態(錆の進み具合、ヒビ割れの有無など)をチェックします。

写真1 撮影風景

 次に、付着している土やゴミなどを、水やアルコールで洗浄します(写真2)。

写真2 洗浄作業

 洗浄し乾燥した後に、洗浄で取り除けなかった土、ゴミ、錆(さび)ぶくれなどを顕微鏡で観察しながら慎重に除去していきます(写真3)。

写真3 クリーニング作業

 綺麗になり銭名の漢字が読めるようになれば、書籍資料など(写真4・5)の拓本と照合して、作られた時代などを判読し記録します(写真6)。

写真4 参考文献

写真5 銭名と拓本

写真6 照合作業

 その後は、銭貨の錆が進行しないような処置や、本体の補強及び酸素から遮断する樹脂含浸処置を行います。これは後編にて紹介します。

 

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