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古川遺跡5次調査(ふるかわいせき)

    開催日
    遺跡名
    サイズ
    DL
  • 平成21 年8月8日(土)13:30 ~
  • 古川遺跡5次調査

    6.15 MB

    PDF

    所 在 地:松山市古川北二丁目275 番1の一部
    調査期間:平成21年6月1日(月)~同年8月14日(金)
    調査面積:606.6㎡
    調査主体:財団法人松山市生涯学習振興財団埋蔵文化財センター
         (現公益財団法人松山市文化・スポーツ振興財団 埋蔵文化財センター)

    1.はじめに
     古川遺跡5次調査は松山市道北久米和泉線道路改良工事に伴う発掘調査です。これまで、松山市道関連調査では平成13年度から今年度までの8年間に東石井遺跡、西石井遺跡(1~3次)、古川遺跡(1~3次)を実施しました。
     その結果、弥生時代から中世までの集落関連の遺構や遺物を多数確認することができました。弥生時代中期では竪穴式住居址や溝、土坑を検出し、溝内からは土器や製作途中の石器が出土しています。また、弥生時代後期では竪穴式住居址や井戸址を検出し、井戸内からは多量の土器が投棄された状態で出土しました。さらに、古墳時代初めでは掘立柱建物址や溝を検出し、溝内から多量の土器が置かれた状態で出土しました。この他にも、古代や中世では土坑や溝、土坑墓などが検出されています。これらの事から、弥生時代中期~後期にかけて松山平野の沖積地における集落の広がりやその様相が次第に明らかにされてきました。また、古墳時代おいても集落が継続して営まれ、古代から中世にかけての集落が点在する様子も知られて来ています。
    2.調査の概要
     調査では、
    • 掘立柱建物址1棟(掘立1:平安時代後期)
    • 溝3条(SD1:平安時代後期、SD2・SD3:弥生時代末)
    • 土坑6基(SK1・SK5:弥生時代末)
    • ピット62 基(SP2・3・4・5・12:平安時代後期)
    を検出しました。
     このうち、SD2は直径8.5 ~ 8.9mの円形状の溝で幅40cm~ 1.4m、深さは6 ~ 58 cmです。
     この溝は南北で深さに違いが見られ、南側では深さ20cm、北側では深さ50cm となっています。埋土は2層あり、溝の上層からは完形の甕形土器2点が出土しました。
     また、南側には長さ2.7mの範囲で溝が途切れる箇所があり、これが近現代に削られて失われたものか、もともと途切れていたものかは削平が著しく、検証する事は出来ませんでした。
     この円形状の溝の中心位置に東西を長軸とするSK5が検出されています。平面形態は隅丸方形状を呈し、長さ2.6m、幅1.0m、深さ20cmを測ります。土坑内から出土遺物はありませんが、検出状況や埋土からSD2とSK5は一連と見られ、中心主体となる墓坑となる可能性が高く、弥生時代末の円形周溝墓と考えられます。その他の遺構では、柱穴の検出状況から東西棟の2間規模の平安時代の掘立柱建物址が確認されました。

    3.わかったこと
      今回の調査では、弥生時代から平安時代の遺構と遺物が確認されました。その中でも弥生時代の遺構としては、弥生時代末の周溝墓を検出することができました。
     本調査で検出された周溝墓は、群れをなして設けられる傾向にあることや本調査地に隣接する古川遺跡1・2次調査で弥生時代後期の壺棺墓や長方形状の土坑が検出されていることから、当該地域が弥生時代末の集団の墓地を形成する地域である可能性が高いことが明らかになってきました。
     また、これまで弥生時代の遺跡の広がりが希薄と見られていた当該地域などの沖積地においても、東域400mに位置する西石井遺跡などのような同時期の大規模な集落跡が確認されてきていることから、広域な視点で遺跡の広がりやつながりを見つめ直すと、この時代の人々が土地の占有の仕方として生活域や墓域、生産域など、自然地形に左右されながらも意図的に利用領域を区別して、集落を営んできたものと推測することができるようになってきました。
     以上、今後ますます、沖積地の石井地区等の発掘調査を進める上では、弥生時代の大規模な広域型の集落として人々の暮らし方やそれぞれの目的にあった土地利用のあり方の痕跡を広域な視点で見つめ直し、各調査の成果を位置づけていく必要がある事が明らかになってきていると考えます。
    調査地の位置
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