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「フライングスタート」

未分類 | by okada
8月 02 2021 年

 

昨日の東京2020オリンピック陸上競技男子100m決勝でも起きたフライングスタートでの失格。皆さんはこのフライングスタートはどのように判定しているかご存知ですか?

実はスターティングブロック(スタート時に使用する足をかける器具)にセンサーが取り付けられており、このセンサーは選手の脚からの圧力をスターティングブロックについた時からずっと測定しています。スタートの号砲が鳴って0.1秒以内でセンサーが脚からの圧力を設定基準以上に感知するとフライングと判定されてしまうのです。

なぜ0.1秒なのかといいますと、ヒトは音を聞いてから0.1秒以内で反応できないという生理学的根拠に基づいています。ピストルが鳴って耳にその音が入り、鼓膜が振動、聴覚器から神経細胞によって聴神経を通り、延髄や脳幹を通過し大脳の側頭葉に情報が届き、そこで初めて音と認識し、1次運動野から「スタートしろ!」という指令を出します。運動の指令は錐体路を通って脊髄に伝わり、脊髄から筋に伝わり始めて身体が動き始めます。

あまりにも複雑過ぎるので簡単に説明すると、ピストル音を聞いてから脳が筋肉に信号を伝え、実際に筋肉が反応するまでの間に0.1秒以内で動くのは不可能という事。つまり0.1秒以内なら山を張ってスタートしたと判断できるという訳なのです。

ちなみに短距離走のトップ選手において、スタートのリアクションタイム(反応速度)は0.140秒が反応の良し悪しの基準とされ、0.120秒は好スタート、0.160秒なら反応が遅いと言われています。陸上競技を見る時はスタートにも注目してくださいね。