東石井遺跡・西石井遺跡

えひめけんまつやましひがしいしい・にしいしい
愛媛県松山市東石井・西石井

 東石井・西石井遺跡は、松山平野中央部の石井地区にあり、小野川と内川に挟まれた沖積低地に立地しています。両遺跡からは弥生時代~中世の集落跡が発見されました。

 東石井遺跡は、石井小学校の北側一帯で、弥生時代後期(約1,800年前)の竪穴建物・溝・土坑・井戸・墓などが検出されました。西石井遺跡は、東石井遺跡の西に続く遺跡で、弥生時代中期(約2,200年前)~古墳時代前期(約1,600年前)の竪穴建物・溝・土坑・井戸・墓などが検出されました。注目されるのは17基に及ぶ井戸の検出で、全て地面を掘りくぼめただけの素掘り構造で、掘り方の平面形は円形または楕円形で、規模は直径1mと3mの2種があり、深さは1m前後でした。

 西石井遺跡の井戸から出土した完全な形の土器9個体には記号が見られ、井戸を廃絶する時の祭祀儀礼について知ることができる資料です。また、同遺跡の大溝からは土器や石器が多く出土しており、分銅形土製品、土製紡錘車、石錘、石庖丁、砥石などに混じり、備後(広島県東部)の鉢形土器も出土しています。このほか、竪穴建物からは近畿・香川・岡山などの地域の土器や、韓国系土器もあり、他地域との交流をもつ資料や、松山平野の井戸について、構造・規模・廃絶時の祭祀儀礼などが良く分かる資料が得られました。